村落の風景

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それから彼は絵を描きはじめた 画具もないので 頭でなんどもイメージした 彼はいままでみた景色を思い描いた 言葉をはっせずに 彼はもう文盲でさえなかった もう彼には言葉を必要としなかった 彼は感じた 自分が充実しているのを まるで宇宙の一部になったみたいだ それまでの虚しさ いいようのない暗闇 暗闇 井戸の底を覗きこんだような そこが底なのか淵なのかわからない しかし彼は発見した 底からの輝きを 落下中の男が思うものを 自らの胸の底を
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