第一章

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吹雪が一瞬だけ途切れ、視界の隅を、木造の建物が掠めた。ログハウスだ。 「…在ったね…。」 「うん、在った…。」 私と秋音は顔を見合わせーーーどっと息を吐いた。 「「助かった~…!」」 涙で目元が凍りつきそうだけれど、構ってる場合じゃない! 這うようにしてドアの所に辿り着く。 地図を落としてから、吹雪の中、二時間は歩き回った。体力限界だよ…(泣) 「あの~、御免下さい~…。」   秋音がドアを叩く(声か細い)。 暫くして蝶番が軋み、ログハウスから、一人の老人が現れた。 「ああ…。予約なさってらした方々ですね?お待ちしてましたよ、大変でしたでしょう。」 そう言って、老人は…ログハウスのオーナー、坂根詠一は、優しそうな笑みを浮かべてくれた。
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