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 眼が覚めたのは部屋の音を聞いたからだった。がさがさという音は遠慮もない。恐る恐るトイレのドアから顔をだすと玄関で靴を脱いでる最中の英明だった。 「…おはよ」 「きたねぇ。」 「…。」  英明はひとつ年上の元カレだ。別れたことは皆知らない。いつもくっついたり離れたりを繰り返すため、報告も傍迷惑なだけだと去年くらいに友達に言われたからだ。別れていても付かず離れず。誰もわかるわけがないのだ。  シャワーを浴びて裸で珈琲を淹れに台所にたつと、待っていたらしい英明に声をかけられた。 「宮崎から電話もらってさ、お前を家まで送ったけど酷いから看てやれって」  コンビニ袋をがさがさと探り英明は私に缶珈琲を渡した。珈琲をいれるのをやめた私はベッドに座る。 「お前宮崎誘ったんだろ?」 「うん。誘った。」 「それでまた酷く酔って失敗したな?」 「うん。逃げられたわ。目の前で吐いた。」  英明はプッと吹き出しながらコンビニ袋からプリンを二つだす。一つ封を開けながら「可哀想に、その上、俺にだいぶ申し訳なさそうに電話してきたんだけど」と笑った。ああ、英明って本当に性格が悪い。 「すまんかった。宮崎に馬鹿丁寧にお礼言って差し上げて。」  上機嫌の英明に腕を捕まれてプリン味のキスを落とされる。まだアルコールで気だるい私の身体を彼は丁寧に抱いた。
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