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 宮崎から電話があったのは23時を少し超えた頃だった。俺と由美がまだ恋人と思っている宮崎はおどおどと二人で飲んだわけじゃないと何度も繰返した。宮崎もだいぶ飲んでるなと思いながら「その件は後日話す」と脅しておいた。きっと酔いも覚めて無事に帰宅できるだろう。  俺の方はあいにく終電では天王寺までしか行けず、しょうがないので天王寺からタクシーを拾って由美の家まで向かった。きっと由美はわからないだろう、俺が大事に思っているってことを。なけなしのバイト代はいつもこうやって消えていることも。別れると言われる度に甲斐性のない俺がいつも引き留める術がなくいることも。3月なのに本気で雪が降る窓の外を見ながら自分を正当化して由美を恨むように愛していることを考える。
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