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「じゃあいろいろ聞いてみていいかな?」
「はい!
どんどん聞いちゃってください」
笑顔で俺に言う桜霞ちゃん。
「まず、敬語止めね?」
「……そんなこと言われたの初めてです。
いままでの人はあっちの私と会ってから私に関わろうとしなかったので…」
それはどんなにつらい人生だっただろう…
自分の意図しないところで、もう一人の自分が周囲を全部遠ざけてしまう。
「すごく…嬉しいです。
和生君って優しいんですね」
「“君”もなし!!
って俺、自己紹介したっけ?」
「いえ、あの日校庭でお会いした時、お友だちの方がそう呼んでいたので」
あの筋肉ゴリラか。
「俺のことは和生って呼んでくれよな。
それに敬語も止めよう!
俺たち、友だちだろ?」
「友…だち…」
桜霞ちゃんはその言葉を噛み締めるように言った。
「ご、ごめん、嫌だった?」
「いえ、全然嫌じゃないです!!
むしろ、すっごく嬉しいです」
桜霞ちゃんの表情は晴れやかで、とても嬉しそうだ。
見てるこっちまで嬉しくなっちまう。
「じゃあ敬語なし、呼び捨てで!!
おっけー?」
「やっぱり…和生君、
ううん、和生は優しいね」
桜霞ちゃんは俺にとびきりの笑顔をくれた。
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