桜と霞

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   「別に俺は優しくなんてねーよ。 桜霞ちゃんが可愛かったからさ」     俺は照れ隠しにそう言って笑った。   いまだに教室には俺と桜霞ちゃんだけ。   もう少し…   もう少しだけ、二人きりでいたい…   そう思ってしまっている俺がいて、それに気づいて驚いている俺がいた。     「なっ!? 可愛いって……」     桜霞ちゃんは顔を真っ赤にしてうつ向いてしまった。  ふむ、照れかたも昨日の桜霞ちゃんとは違うんだな。    「自分は呼び捨てで呼べって言うのに私のことは“ちゃん”づけで呼ぶんだね。  私のことも呼び捨てで呼んで欲しいな」     桜霞ちゃんは顔を真っ赤にしたまま俺に向かってそう言った。   彼女なりの照れ隠しなのかもしれない。     「でも、桜霞って名前、呼び捨てにしずらいんだよねー」     「えー、なんでよー」     桜霞ちゃんは頬を膨らませる。   うん、普通に怖くない。   むしろ可愛さ5割増って感じだ。   なんで桜霞って名前を呼び捨てにしずらいのかっていうと…   特に理由はない。   なんとなくだ。     「だから、なんかニックネーム考えようと思うんだけど…   なんか案ある?」
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