桜と霞

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  二人きりの時間も、もうすぐ終わるだろう。   それまでにもっと桜と話をしておこう。   俺の胸のドキドキはおさまるどころかさらに大きくなっていくが。     「桜と霞って記憶とか、どういう風になってんの?   霞ん時の記憶も桜にあるわけ?」     「うーん、霞の時の記憶はほとんどないかな。   夢を見て、その夢を忘れちゃった感じ。   ほんの少し、イメージだけなら残ってるけど…」     「ふーん、でもそれって不便じゃねーか?   いろいろ大変じゃん」     「もう慣れちゃったよ…」    まただ、また桜は寂しそうな顔をした。   俺と話している時に見せる寂しそうな顔。   俺はその理由を分かってやれないし、助けてやることもできない。   そんな自分がすごく歯がゆい。   今の俺にできるのは桜にそんな顔をさせないように、話をふることだけ。 俺の中で桜がどんどん大きくなっていく。   一言、言葉を交すたびに、  一つ、桜の新しい表情を見るたびに、   どんどん大きくなっていく。 桜の笑顔が俺の心を支配していく。   もうダメだ。   どうやら俺は完璧に桜のことを好きになっている。
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