桜と霞

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俺の溜め息の原因、それの一つは間違いなく桜だ。 さらに言うなら桜と二人きりになりたいってことだ。  もっと言うなら恭也と元が邪魔だってことだ。 溜め息の原因二つ目、 朝から気になってはいたんだけど。 桜本人がなにも言わないから黙ってたんだ。 そろそろ我慢の限界だ。 「なんなの、アイツ 昨日とキャラ変わりすぎじゃん」 「昨日、私たちに消えろとか言ったくせに今日は男子に色目つかってるし、 気持ち悪ぅ」 「あーいうのウザくね?」  「つーか、転校生のくせに調子のってんじゃねーつうの」 教室のあちこちから聞こえてくる桜への悪口。 故意にか、無意識にか分からないが俺たちの耳にはっきりと届くくらいの音量。  そりゃ溜め息もつきたくなるさ。   あまりにも幼稚すぎる。   ダメだ、そろそろ限界越える。キレる。 「聞いた話じゃ、あの転校生、二重人格らしいよ」   「マジかよ? 二重人格とかもう人間じゃねーじゃん」 キレた。 「おい、恭也、元」 「奇遇だな、俺も同じことを考えてたところだ」 「ほう、これまた奇遇だな。 俺も同じこと考えてる」 俺たち三人は目を合わせることもなく、唯一不思議顔の当事者を残して同時に立ち上がった。
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