桜と霞

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  俺は恋の病ってのは、潜伏期間があって発病するまで時間がかかるもんだと思ってたタイプの人間だ。   つまり、人を好きになるってのは、そいつと一緒に遊んだり話したりしてるうちに、少しづつ好きになるもんだと考えてたわけ。   そんで、いつかその気持ちが恋ってヤツだってことに気づく。   これで恋の病、発病ってことさ。 だけど、今回の恋の病ってのはそうじゃない。 つい三日前に会ったばかりの女の子に、俺は完璧に夢中になってしまっている。  まだ一緒に遊んだこともない、今日少し話をしただけの女の子に、俺は恋しちまっている。 しかも、軽い病気じゃない。 自覚症状が表れるくらいに重症みたいだ。 おいおい、まいっちまうなぁ… 自分の考えていた恋の持論ってヤツを完全に打ち砕かれてしまった。 しかも、自らの体験によって。 「はぁー…」 口から溢れるのは溜め息ばかり。 溜め息は風船がしぼむ時のように長く俺の口から漏れる。   そして、その溜め息に反比例するように俺の中で桜への想いが膨らんでいく。       もっと会いたい       もっと側にいたい       もっと声が聞きたい           もっと、もっと桜の笑顔が見たい。
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