~魔法~

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 間違いない! 腕組みをしながら、 ごつごつとした右手であごの辺りを触り、 深い皺の刻まれた、優しい笑顔を浮かべている。  見間違えるはずが無い!   「おじいちゃん!!」   驚きと戸惑い、 不意に訪れた安堵感からか、   思わず声が上擦る。      懐かしさに詰まり、 二の句が告げない様子を見兼ねたように、祖父が低い声で、こちらに話しかけてきた。     「孫よ、大きくなった な」    記憶と同じ強く優しい声。   「お前には、   普通の、人生を  歩んで欲しかったのだが、    それも   叶わぬ夢だったか」       落胆混じりのその声は、 暗闇の中で、とうとうと語っていた声と……同じ?     「ならば、  せめて 戦う為の      力を 預けよう」    そう言うと、 おもむろに左手を突き出し、 握り締めたコブシを開く。      その手には、 不思議に妖しく煌めく石が、     2つ握られていた。    
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