~魔法~

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  促すように微笑む、 祖父の左手に  そぉっ と両手を、添えるように差し出す。   「さぁ、我が孫よ!   この 無意識の精神の部屋を、閉じ込めていた、私の力を 預けよう!」    そう言って右手に、 ウズラの卵みたいな、 茶色に、黄色い縞模様が入った石を乗せた。   「そして、閉じ込めていた、力を返そう」   左手に透き通る赤紫色の石を。  「これは?」   その問い掛けに答えるかわりに、優しく抱きしめられた。   「さぁ、お別れの     時間が来たようだ」   「待って!まだ何も!」   優しく頭を撫でられながら、 オレの目を覗き込むように見つめる。   「開きかけた 記憶の扉を 開け放そう!」    祖父の優しい笑顔がこちらを見つめる。          そうだ、 すべてはっきり思い出した。   この世の理、錬金術、対立する関係、魔法、意思の力。  あれは、すべて、 幼い頃、祖父から教えて貰った事だったよ……     優しい温もりに抱かれながら、 やすらかに眠るように 意識が和らいでいく。 幼い頃の様に。  
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