~貴石~

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 とりあえず、 2つの石を布団にならべて、 口元にシューシューと、 しつこい位に酸素を送り込んでくるマスクを外す。   息苦しさにも似た呼吸のしずらさは多分、 背中から腰に走る鈍痛が原因だろうか?   痛みのせいか、ずいぶん呼吸が浅くなる。 口内のネバつく感じが、事故から数日は、経過しているのを伝えてくる。     「事故っちまったんだなぁ」   そうつぶやきながら、 少しでも楽な位置を探して、座りなおそうとした時に、 胸のコードがひっかかり剥がれおちた。   ピィー――――― 鋭い電子音に、 反射的に振り向き、たたき付けるようにスイッチを切る。 痛みを忘れる程の緊張感。     蘇る悪夢………     誰か飛び込んで来るんじゃないか? と、入口のドアを凝視する。  緊張のせいか、 速まる呼吸にあわせて、 肺から脇腹にかけて、 酷い痛みが走る。  
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