登園拒否

2/5
前へ
/62ページ
次へ
アチキは昔、集団生活というものが大嫌いであった。 決して金持ちでない、なんなら貧乏?な、ごく平凡な家に一人っコとして生まれ育つ(幼い頃はずっと祖父母に預けられてはいたが…) しかし、かなりの『出来るコ』だった。 一歳には漫画では無く、本を読んでいたぐらいである。 赤ん坊の時から全く夜泣き、ワガママ、人見知り、子供によくある感極まると奇声を発する事など一切無かったらしい。かなりの冷静なガキだった。 家で一人遊びをして、本を読んで字の勉強をする。三歳の時には、書道とピアノと英会話を習っていたと思う。 それなのに…来るべき時が来てしまったのである。 そう、保育園に行かなければならない歳になってしまった。 アチキが行く保育園は、寺がやってる所で少しマニアっくな行事が多かった。 初登園では母がツイて来たので、それなりにやり過ごしたのだが……まさかその数日後、地獄の日々が訪れようとは思いもしていなかった。 『早朝マラソン』そう、朝登園すると皆でパンツ一丁になり、首にタオルを巻き赤白帽を被せられ、約1㌔も走らされるのだ。 しかも、雨以外は熱かろうが雪が降ろうが お構いなし…にパンツ一丁。 アチキは、この屈辱に堪えられなかった。勿論シンドイのもあったが、幼い心はみるみる変化していった。 まず走り出すとすぐ近くに大きなガレージがあり、一瞬死角になる場所があった。アチキは真ん中ぐらいを走り、先頭の先生と最後尾の先生と、他のガキ達に見つからないようにサッとガレージの車の間に逃げ隠れる。又、みんなが戻って来たら同じ所ら辺でサッと紛れこむ。この技を4日でマスターした。あの事件が起こるまでは…
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加