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技を修得し、数日経ったある日の事だった…。
アチキはいつもの様に隠れたのだが、フッと思いたった(少し散歩してみよう)と。
駐車場では暇過ぎる。せめて犬なり、小鳥なり、何かと時間を潰したい。
全くひねたガキである。
皆が帰って来る反対方向のガレージ出口から、そっと走り抜けそのまま歩き出した。
テクテク…テクテク パンツ一丁でだ。知らないオバサン達に遇えばニコッと愛想をふり、『かわいいねぇ』と言われその場を上手くやり過ごす。
テクテク…テクテク……?ん!どこじゃここ?テクテク…テクテク 歩き続けたはイイが、畑や民家や…後ろを振り返ると道がない!全く自分の予期せぬ出来事が起きたのである。
『迷子』だ。
アチキは生まれてこのかた、一人で出歩くのは家の前の通り一本だけだった。
…ヤバイ!ヤバ過ぎる!
気付けば辺りに誰も居ない。恐る恐る小屋の様な家らしきものの壁に座り、泣く訳でもなく…ただ
助けを待つ事にした。
一時間…二時間…そして気がつけばパンツ一丁で夕方に…。
段々不安になってくる。
あまりに時間が過ぎたせいか、アチキは寝てしまった。
『…保護ただ今確認…保護完了…』どこからか、TVの様な無線の様な音が聞こえる。
目を開けると、パトカーが数台。人がワンサカ……なんじゃこりゃ?
見れば母が目の前に居る。『何してたの!』バチっ!……パンツ一丁でシバかれる。
そのまま家に連れ帰られ、翌日は保育園を休み一日怒られ続けた。
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