この距離と僕と、君と。

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「お日さんが出てるときは皆外へ出るけど、お月さんが出てるときは皆外へ出ないからね。」 誰もが無意識の内に続けている日常は、とても残酷なことなんだ。 そう言った君の目がとても悲しく見えたから、僕は思わず君の服の裾を掴んだ。 「じゃぁ、僕は君の太陽になる。」 自分でもびっくり。何言ってんだろ。僕。 だけど。 言わなきゃダメな気がしたんだ。 君が月に見えたから。 その悲しそうな目に、 「さよなら。」 を言われた気がしたから。 「遠いところで、君だけを照らすから。」 月は太陽がいないと、光ることができない。 「束縛」じゃないけど、僕が君を必要としている値に重なるぐらい、君にとって僕が必要な存在になれますように。 「お月様は太陽がいるから、悲しくないよ。」 だから君も悲しまないでね。 「…お前が俺の恋人だったらな……」 越えられない一線。 それはムリだよ。 太陽は月を照らすだけで、傍にいるわけじゃない。 決して縮まらない「距離」 それは僕らが存在できる場所。 「でも大丈夫。だって、」 僕らみたいに、月の下が好きな人だっているんだから。 僕は月の光が好きだよ。 優しくて、綺麗で。 あぁ、本当に、君みたい。 遠すぎたら弱く、近すぎたら強い。 この光の距離を 広げないよう。 縮めないよう。 「僕は君の為に。太陽になるから。」 ほら。 これでもう、悲しくないよ。
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