『始』

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――ある廃墟 「くそ、ここにも無いか。一体何処にあるんだ。それ以前になんでこんなとこに隠す必要があるんだ。全く不愉快だ。」 そこには、その廃墟には似合わない高級そうな服にみを包んだ高校生ぐらいの青年と 「しょうがないでしょう。愚痴を言わずに探してよ。早くしないと先を越されちゃうよ。」 服装は高校の制服みたいだが、身長が150㎝ぐらいで端から見れば小学生と間違われてもおかしくない体格だ。しかし、二人に共通しているのは、異様な雰囲気を纏っているところだ。 「にしても俺は良いとしてお前はこんな遅い時間まで平気なのか?」 確かに今は丁度日付が変わるぐらいの時間だ。 「うん。今日は父さんは飲みに行くって言ってたし、母さんは夜勤で帰りは明日の朝だしお兄ちゃんも友達の家に泊まりに行ってるから今日の夜は私一人だから家に一人で居るよりはいいかなって思ってね。」 父親はいわゆるサラリーマンで母親は市立病院の看護士、3歳年上の兄は私立の大学に通っている。 「それならいいけど。・・・・ん?なんだこれ?」 そう言ってなにか光るものを手に取ってみた。 「これって鈴木の大事にしていた指輪じゃない!? やった!早くあそこに行こう!あっちもそろそろ見付けるころだろうし。」 そう、この二人の他にもう二人いて、この四人で肝だめしをやっていた。冬なのに。ルールはまず片方の大事な何かを隠す。そして所定の位置に揃ったらスタート。先に隠した何かを探して先に最初の場所に帰ってきた方が勝ち。負けた組は買った組の言うことを一つ聞かなければならない。 「よし、いそぐぞ!」 そう言って一目散に駆けていった。
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