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ある国に真っ黒な城が建っていました。
その城は世界を恐怖で支配した黒の王の城でした。
そして、その城には、美しいお姫様が幽閉されていました。
姫は、黒の王の妾として、戦敗国の城から強制的に連れて来られた者でした。
ある日、姫は子を身籠ります。
もちろん黒の王の子です。
王の本妻は、それを妬み、彼女を殴る蹴る等の暴行を与えました。
姫は、それに耐えつつ、密やかに子の無事を思うのでした。
冬がきて白い雪が降ると、王の本妻は姫を離れの牢へ移しました。
離れの牢は石で出来ていてよく冷えている上に窓はなく、吹雪の夜は雪がそこから入り込んできました。
牢に積もった雪を見ながら姫は呟くのです。
「この雪の様に白い肌をした、清い心の子になるといいわ…。」と…。
夏になり、姫は、女の子を産みました。女の子は、姫の願い通り白い肌をした子でしたが、頭髪は黒でした。
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