モノクロの町

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朝、起きると…世界がモノクロになっていた。 空は淡い灰色、雲は変わらず白い。 ヒトを含めた動物も植物も…いや、時々色の着いたヒトや木もある。 そもそも、ここはどこだ? 町並みからして明らかに21世紀では無い。 今にも空襲が始まりそうな感じだ。 人々の顔には生気が無く、虚ろな表情。 おれは宛も無くフラフラと歩く。 途中、長井自転車店なる店を見つけ、驚いた。 おれと同じ名字…そういえば、死んだじいさんが昔、自転車屋やってたって親父から聞いた事があるな。 まさか? 店を覗くと、やはりおれのじいさん。 どういう事だ? じいさんはおれの目をまじまじと見つめると、いきなりビンタして 「帰れ!」 その瞬間、意識が遠のき、その場で倒れた。   目が覚めると、妻と子ども達がおれの顔を覗き込んでいた。 ちゃんと色が着いている! 恐らく元の、21世紀の世界へ戻ってきたんだ。 妻が言うには、昨晩、飲み過ぎて帰ってきたおれは階段で足を踏み外して頭を打ち病院に運ばれたんだそうだ。 あのモノクロの町は、夢だったのか。 しかし、さっきから息子が白黒に見えてきてるのはなぜ…
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