無言電話。

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毎日、無言電話が掛かってきます。 いつも同じ電話番号から掛かってきます。 無言電話だとわかっているなら、出なきゃいいのに。 なぜか出なきゃいけないと思ってしまうんです。 この番号、知っている気がして…。 何度か私から掛けてみましたが、出てくれません。 でも、いつか電話の向こうにいる人が私に何か語り掛けてきてくれる日が来る、そんな気がするんです。 また掛かってきました。 「…もしもし」 また何も言わずに切れました。 こんな事がもうかれこれ50年モ続いてイルんです。 待チクタビレテ、爪も髪も伸びキッテしまい、ただれた体には蛆が湧イテ、これまで幾匹もの蠅が飛ビ立ッテ行キました。 明日は何か話してくれる、ソう信じて私は今日もココから動ケズ無言電話を待ッテイルノデス。
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