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「迅、お疲れ。」
「慎吾さ、ん」
「ごめんな、試合。……連れてって、やれなかった。」
(あぁ、そんな偽りの笑顔で)
「サンキュー迅。楽しかったよ。お前とやった野球。」
「…………慎吾さん…………っ!」
(笑わないで、その笑顔は、俺の好きな笑顔じゃないから、)
「慎吾さんっ…無理して笑わないでください…っ!!辛いなら、泣いてくださいっ!!」
空気が震えた気がした。慎吾はぎゅ、と拳を握り俯いた。
「…へ、へへっ…最後は、笑うつもりだったんだ、………けど…!!くそぉお……………!」
慎吾の目から、ポロポロと涙がこぼれていく。
量は少ない、でもそれは止まることはなく、
「迅、迅…………っ…!!」
迅の身体を痛いほどに抱き締めて。
幼な子が母にすがりつくように、泣いて。
「ちくしょ……ちくしょぉお………っ!!!」
今は、泣いて
貴方が楽になってくれれば俺はそれで
ありがとう、愛してる
(少しだけでも、貴方の悲しみが和らぎますように、)
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