馬越のハートが盗まれた!

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ころころ……ポトッ 「あっ」 シャーペンが机から落ちた。 「よいしょっと」 そのシャーペンを拾おうとした少年の名前は、馬越一喜(まごしかずき)。背の高い、普通の高校1年生の男子だ。先週入学式も終え、普通の学生生活を送っている。 「あれ?届かないぞ?」 そう思いながら手を伸ばしていると、 「ハイ、これ」 横から女の子の声が聞こえた。多分隣の女子が取ってくれたのだろう。 「馬越君のでしょ?このシャーペン」 「ああ、ありが……!!」 俺はその瞬間衝撃を受けた。体中にサン〇ーボルトが流れたのだ。 「え、え? あの、あ、えーっと……」 俺は不覚にもキョドってしまった。 「え?どうしたの、馬越君?」 「え、いや、あありがとう」 可愛かった。凄い可愛かったのだ。こんな感じは生まれて初めてだ。でも高校に入ったばからなので、名前がわからない。 『やっべぇ、マジ可愛い。仲良くなりてぇーなー。あ、でも名前わかんないし、どうしよ。聞こっかなぁ』 そして意を決した俺は、彼女に向かって、 「ありがとう。ごめん、名前何さんだったっけ?」 すると彼女は、 「小松麻紀(こまつまき)。クラスが同じになっばっかりだから、わからないのも無理ないよね。でもこれからは覚えてね、馬越君?」 と、ニッコリ笑って話してくれた。その顔もまた可愛かった。 「おう、わかった。まかしとけ」 そう言って、また勉強に戻った。 「これが、恋か………」 馬越は、少し呟いた。
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