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「よっし、行こうぜ!」
増田を先頭に、みんなは宮殿へと旅立った。
歩き出してから1時間くらい経ち、砂嵐がひどくなってきた。
「ふぅ~。砂嵐が強くなってきたな。宮殿まではこの道であってんの?」
増田が霜ちゃんに聞いた。
「うん。砂嵐が強くなってきたから、バスト砂漠には入ったと思うよ。でも………」
そこで話が途切れた。
「どうしたんだよ霜ちゃん。何かあんの?」
龍平が心配そうに聞いた。
「うん……。あのサクリファイサル宮殿に行くには儀式があって、それをクリアーしないと宮殿に入れないらしいんだ。ほかにも儀式やら呪いやらいっぱいあるんだってさ………」
霜ちゃんが昨日聞いた事を俯きながら話した。
「で?どんな儀式なんだよ」
福田が尋ねた。すると、
「人間の生きるか死ぬかの瀬戸際の時に流れる血を宮殿の周りにある器みたいな入れ物に入れるみたい。なんだけど……」
そこでも話が途切れた。
言いたいことはわかる。誰の血を儀式の時に使うかだろう。しかし誰のを使うかはもうみんなわかっている。ある一人を除いては。
そいつは空気も読めずにみんなに聞いた。
「死ぬ間際の血って……。誰の血を儀式に出す?」
そいつはそんな事を聞いているが、みんなの中ではもう決まっている。
「お前だよ!!」
もしかしたらそいつが誰なのかわからない人がいるかもしれないから言っておく。
そう、馬越である。
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