第2章─黒兎

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それに小さい時から、ミーハーな姉に「美形は世界の宝!!!」と、いう教訓を何度も聞かされ続けた俺にとって、こんな美形を手荒に扱う事は………………………いや、もう手は出してしまったが…。 (近年まれに見る美形の顔に鉄槌くだしました。 はい。すみません姉上) 「えっと…トリスタ.ディぅ………えっと「トリスタ.ディウーティフル=ラビットです。トリスタで構いませんよ、アリトv」 美形が機嫌良さそうにニコォっと笑う。 俺もつられて笑う。 それにしても スゲェ名前だ…。 やっぱり容姿からしても日本の方では無いらしいが…『ディウーティフル=ラビット』って…俺の知識が正しければ『従順な兎』って意味だ…。 んで、極めつけに彼はハートの女王様の兎らしぃ。 ………なんか危ない世界の人なんだろうか?; 最初は、俺を殺してこい…なんて命令するくらいだからマフィアかなんかだと思ってたんだけど… (なんだろ…危険なムスクが漂ってるよ~;) 「なんで…俺は…その、女王様に狙われてんの?」 別に息を潜める必要は無いのだが、何故か気分的に口に手を添えての内緒話になった。 それに、ノリ良く相手も俺に合わせてくれる。 周りをキョロキョロと見回して誰もいない事を確認してから小声で答える。 「……アリト。 貴方が女王のハートを奪ってしまったからですよ…。だから女王は貴方を殺して貴方を御自分の物にしようとしている。」 …………………は? 今のセリフはいったい どう解釈すれば良いんだろう…。 『お前が女王様のハートを射止めちゃったぜ★ にくぃねぇ~ この!この!』 …………いや。違うか。 「……えっと…それって…どーゆ「静かに!!」 もう一度聞き返そうとしたら、口を抑えられた。 「……猫に聞かれると危ないですからね。核心に近付く質問は小声でお願いします。」 真剣な顔で詰められたので思わず頷いてしまったが、猫に話を聞かれると何が不味いんだろう? 猫に人間の言葉は理解できているのか?? そもそも、今の話の何処に核心が有ったのかさえ俺にはわからなかった。
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