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今度は声を潜めて話してみた。
「……あの。で…
俺はどうしたら良いんだろ…まだ俺って命狙われてんの…?っていうか俺は女王様のハートとやらを何時の間に失敬しちゃったの?」
今の俺には
知らないといけない真実だ。ホントに俺はこれからどうしたら良いんだよ。
まだ命狙われてんならさぁ…家にだって帰れないんだろーし、さ。
あぁ、どうしよう。
もう家族と会えなかったりしたりしたら。
今日の朝なんて時間なくて「いってきます」って叫んで「行ってらっしゃい」が返ってくる前に家を飛び出してしまった。
今日で終わりだって知ってたら…もっと、ちゃんと…
まだ答えが返ってくる前から悲観的になっている俺にあっけない答えが返ってくる。
「え?アリトの命ですか??狙われますよ。これからも殺されかけますよ。死んじゃいますよ。もれなく周りも惨殺です。」
……あぁ、笑うな美形。
美形の笑顔って残酷なもんだょ…ねぇちゃん。
「でも、大丈夫です。
僕がアリトを守ってあげますから。」
もう既に半ベソの俺の頬を優しく包むと、仕草に負けないくらいに優しく微笑んだ。
なんか変な話だ。
さっきまで俺を殺そうとしていた人間が俺を守るなんて言ってんだから。
「そうと決まれば行きましょう。」
「え?どこに??;」
女王様の兎は立ち上がるとズボンをパンパンと叩いて身なりを整えると、俺の手を引いた。
当然俺はパニック状態で、頭の中は真っ白だ。
もう 自分の今後の身の振り方がわからない。
18年間常識にしか触れてこなかった頭では、この非常識に付いていくのは不可能だった。
「…?どこって…。『wonder land』ですよ。」
『不思議の国』…?
この状況が既に不思議でならないのに、これ以上奇怪な事が有って良いはずがない。少なくても俺の人生にはこれ以上のスパイスは必要無いです。
それにこの男には聞きたい事がまだまだ山積みだ。
俺には、不思議の国なんかに行く事よりも、街灯の下での質問タイムが必要だ。
「ま、待てよ!!
まだ聞きたい事がいっぱいあるし!その…女王様のハートを…なんの事かわかんねーけど…俺が返せば良い話なんじゃねーの?!!」
俺が必死に反論する中、兎は構わず俺の手をグイグイと引っ張る。
何故か心なし焦ってるみたいにも見える。
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