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だけど…
しかし…
「……あのね。見てわかると思うんだけどね。
俺は男な訳で…manな訳で…;;」
極度の混乱状態のせいで
変な言葉使いになる。
まるで俺こそキャラ作ってるみたいだ。
「ええ。知ってますよ。
大丈夫。兎って生き物は愛に一途なんですvV」
今の話の何処に「へぇ、そっかぁ!そりゃ安心だ!!」なんて言える所があったのだろうか。
何が「大丈夫」なんだ。
おい。
「それに、アリトはもう僕から放れられない。
血の契約で……紅い糸で結ばれてますからね。」
なにやら顔は真実なのに夢見る乙女のような口ぶりで小指を俺に見せているが、もちろん俺には紅い糸なんて物は見えない訳で…
そんな物は是非とも存在しとほしくない訳で…
やっぱり
この自称『兎』は電波系なんだと思う。
引っ張るのを中断していた手を振りほどいて
俺は後退りする。
悪い夢なら
そろそろ覚めても良い頃だ
興味本意に近付いたが
闇は俺の思ったよりも深くて濃いものらしい…
(ここいらが潮時だな)
…やっぱり 高3は
進学か就職活動に勤しむものなんだ。
普通って良いもんだ。
俺は、クルリと体を捻らせると自分の家を目指して一心不乱に走り出した。
正直俺には
いっぱい いっぱいだ。
次目覚める時には
今日の事が全部 全部
夢で、俺は普通すぎるくらいに普通な学生で、グダグダ授業受けて、放課後は進路指導の先生に職を奨められて、遅くまで残らされて、こんな遅くまで友達が待ってる訳もなく、部活も無い中で、帰り道は夕日が月に変わるのを哀愁漂わせながら帰路に着くのが生業なんだ!!!!!
そうで あってくれないと
困るんだ………。
俺は一度も振り返らずに
自宅の玄関をくぐった。
鍵が閉まったのを確認すると、力が抜けてズルズルとその場に崩れ落ち、しばらく動けなかった。
†to be continue…
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