第3章─普通すぎる日常

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「…な、いきなり…何言って「誤魔化すな。お前は顔に出すぎ。幼馴染み舐めんなよ!」 こう言い切られてしまうと何も言えなくなってしまった。 「………笑わないか?;」 いや… だって、話したって… 信じないだろ…普通。 かと言っても俺はマジに悩んでる訳だから、生半可な気持ちで聞いてもらいたくないのだ。 「笑わない……なんて、保証はできないけどさ…。 今回は真剣に悩んでるみたいだし…笑えないね」 『今回は』ってのがやけに引っ掛かるけど(じゃあ、俺は毎回本気で悩んでないと思ってたのかよ!!!) 話のわかる友人に感動する。 今の流れで長くなると予想したのか織彦は椅子に深々と腰掛けて足を組んだ。 学校のショボイ椅子でこうも偉そうに座れる奴を俺はコイツ以外に知らない。 話を聞いてくれるなら もう少し態度ってもんが…(あー、もういいょ;) 正直、俺は早くこの珍妙な出来事を誰かに話してスッキリしたかった。 俺は覚悟を決めて 昨日の話を織彦に話した。 俺が死にかけた事… 俺の周りの人が危ない事… 女王様のハートの事… そして… 俺を殺そうとした兎の事… 織彦の反応が怖い。 コイツに拒絶されたら… 本当に頼れる人がいないんだ…。 俺は恐くて目をギュッと瞑る。 「………亜里兎」 名前を呼ばれた。 この声だけじゃ織彦の気分は伺えない。 なんだか本当に恐くて 俺は目を開かずに、織彦から決定的な言葉が掛るまでは下を向いていようと思っていた。 …しかし、俺は意外な言葉で上を向く羽目になった。 俺の頬にヒンヤリとした織彦の手が触れる。 それが次の瞬間、いきなり力を入れて顔を引っ張られた。 俺は当然バランスを崩して椅子から腰を浮かしての前のめりになった。 「いったー!!!!織彦っ!! テメェ!!痛いじゃねーか」 首が!!首が抜ける!! 俺が怒ってるのも聞こえないかのように、織彦は掌で俺の顔を包んだまま グイグイと自分の方へ引っ張る。 俺は一応抵抗して織彦の腕をバンバン叩くがびくともしない。 こんな細い腕の何処にそんな力があったのか… 織彦がフッ、と口を開く。やっと、いきすぎたスキンシップから解放されるのかと力を抜いた瞬間。 「殺せば良かったのに」 織彦の口から出たとは思えない言葉に俺は驚愕した。
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