第3章─普通すぎる日常

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あれだけ笑うなとか言ってた自分が笑う。 「あはは…冗談きついぜ織彦。」 顔は掴まれたまんまだが 先ほどよりは力が抜けている。 だけど、織彦の顔は真剣で…真剣過ぎて怖い。 まるで人形みたいだ。 「傷が治った時に殺せば良かったじゃないか。近くにお前を刺したナイフかなんかが有ったろ?正当防衛なら問題ない。そんな奴、殺せば良かったんだ。首を切り落とせば確実だよ。」 言いながらまた首をグイグイ引っ張る。 半引きずられるかんじになっている。 体は完全に椅子から離れて床に膝を付いていた。 椅子に座ったままの織彦に引っ張られているので首の角度が苦しくて仕方がない。 「…や、やめ…織彦」 そろそろ冗談では通じない程に息が苦しくなってきた。 すぐ目の前にある織彦の顔は無表情のままだ。 俺の知ってるうちで こんな織彦は見た事が無かった…。 いつでも一緒だったから なんでも知ってる気でいた。 こんな織彦を俺は知らない …知らない。 何も見たくなくて 俺は再び目をきつく閉じた すると… 頬に籠められていた圧力が急に消える。 冷た過ぎる手の温度も一緒に放れた。 不思議に思って目を開けると、目の前には………………………………………………「…あ、れ?織彦??」 誰もいなかった。 教室には俺一人。 付けたはずの電気も消えて外は真っ暗… 暗闇に俺は一人残された。 狐につままれる… というのはこんな感じなんだろうか…? (…俺、もしかして……寝てた?;) 何処からが夢なんだろう。授業が終わった所から?? それとも教室で織彦に話をしてるうちに俺が寝こけてしまって、織彦は呆れて帰ってしまったのだろうか。 いや…その場合だと彼は叩いてでも俺を起こしにかかるので、違うだろう。 だとすれば、帰りのHRが終わった時点で俺は爆睡していた事になる。 教室の掃除当番は何で起こしてくれなかったんだ。 俺を避けて掃除するよりも起こした方が楽に掃除できるだろうが。 いや… 学び屋で爆睡していた男にそんな事を言う権利はない。 とにかく俺は鞄を持って、教室を後にした。 †to be continue…
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