第4章─兎の穴に墜ちる

3/9

944人が本棚に入れています
本棚に追加
/159ページ
(だとしたら、早く目ぇ覚ませよ俺!!!!) 保健室が俺に手招きしてるみたいに見えてきた。 だけど俺は意地でも入りたくなかった。 なんだか すごく嫌な予感がする…。 すごく…すんごくだ!!! これは俺が小学生の時に朝から嫌な予感がして学校に行ったら、昼休みに階段の手すり滑りを失敗して転落した時の嫌な予感に似ている。 酷い事に、予感ってものは嫌なモノほど良く当たるようにできている。 手をブンブン振り回しながら足を高く上げる。 これでもかっ!って程走ってみたが、依然として俺の体は保健室の前から動かなかった。 (意地でも…意地でも…;)入ってたまるかっ!!! って思ってたのに……… だって、景色が進まなくても俺は歩いたり走ったりしてる訳だからカロリーだって結構消費しただろうし…喉だって渇いてるんだ。 で、保健室には お茶が…水分が…… そしたらもう (意地とか…くだらないよな~vV) 俺には意地なんて無いんだよ。きっと。 俺はノックも忘れて おもいっきりドアを開けた ガラッ!!! 一歩 部屋に入るとそこは 白い部屋だった。 いや、『保健室だから白いだろ?』ってイメージは捨ててくれ!! 現にウチの保健室はファンシー大好きな保険医の趣味でコテコテ少女部屋のドぎついピンクだった。 なのに、そこは真っ白だ。 真っ白ってのは まともな保健室に戻った…とかゆー意味じゃなく、ただ…其処の空間が真っ白な部屋なんだ。 保健室にあるはずのベットや薬品棚…そんなものは、どこを見渡しても見付からない。 後ろを振り返ると俺が入ってきた保健室に続くはずだったドアも消えていて、何から困って良いのかさえも謎だった。 目の前にあるモノ… それは小さなテーブルと 大きな 扉だけ 近付いてみるとテーブルの上には小指位の小さなビン。 (………ん?ラベルが貼ってある……) ビンを摘んでラベルが見える位置に持ってきた。 「……えーと…」 小さなビンに書かれた文字はとても小さかった。 (……見えない;) 「……ルーペでもあればなぁ…」 俺がポツリと言った瞬間、 ポンッ! シャンパンのコルクを抜いたような音と共に俺の目の前にルーペが現れた。 ルーペはフヨフヨと宙に浮かんでいる。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

944人が本棚に入れています
本棚に追加