第4章─兎の穴に墜ちる

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「え~い!!もう知るか!!!!!!!!;」 俺は小ビンをひっ掴むと栓を抜いて一気に飲み干した。 お味は… ストロベリ… 七面鳥… パイナップル… チェリーパイ… 口の中の味と共に 景色がグルグル回る 「…ぅ、あ…」 (苦しい!!) やっぱり毒だった! この場合俺が死んだら自殺になるんだろうか… 自分で服毒した訳だから… いや… でも、誰かが用意した物を書いてあった通りに飲んだんだから…他殺? なんだか馬鹿げた死に方だ。 あまりの気分の悪さに自分の体が今、どんな状態なのかとか考えてみる余裕も無かった。 飲んだ後、手を放したビンが空中に漂っている。 全てがスローモーションみたいだ。 そして視界に映ったビンのラベルの文字。 先ほど書いてあった文字が薄れてゆき新しい文字が浮かび上がる。 『大好きなアリト。 大海原を泳ぐ準備はできてる??』 「………は?」 疑問に思った時はもう遅かった。 次の瞬間ゆっくりだった世界が急速に進み出す。 目の前のビンは一瞬にして視界から消えて それを視線で追い掛けると 下は海だった。 「え?は?? お??!え???;な、なんで俺…空中にいるの???!!」 そして只今落下中。 下は大海原だ。 「さっきまでの洪水がなんで海になってんだよ!!! どー考えても部屋の質量越えてんだろ!!!!」 文句を言ってみるが 行き先は変わらなかった。 ボチャーン!!! すごい水しぶきを上げて俺は水面に叩きつけられる。 コレ。結構痛い。 「ぷふぁ…;く、苦し…」 (な…なんか捕まるもの) 必死で辺りを見回すと何か大きくて透明なモノが浮かんでいる。 俺はそれにしがみついた。 しかし、しがみつくにはツルツル滑るし登りにくい。どうやら硝子でできているらしい。 やっとの思いで上に登ると………。 「…ん?」 硝子には紙が貼ってある。防水加工なのかインクは滲んでなかった。 文字が大きすぎて見えないが、どうにか読み上げる。 『…アリト。 扉をくぐって僕のトコまでおいで。』 「…扉?扉ってさっきの─────Σあっ!!」
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