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「……お前…前に言ったよな?俺が女王様のハート取っちまったから俺が狙われてるんだって…」
「…言いましたよ?」
「んで、俺が死なないと女王様のハートは回収されないし、あのまま俺が普通の生活送ってたら洩れなく俺の周りの人間は殺されちまってたんだよな??」
「…はい。そうです」
兎は『それがどうかしましたか?』って面で首を傾げている。
どうも この男はズレているというか…なんというか…なにか足らない。
「…俺の事 好きだとか…なんとか言うなら…少しくらい…そういう態度見せたって……」
ボソボソと小声で言った愚痴はどうやら当人の耳に届いていたらしい。
「すみませんアリト。
気分を害してしまいましたか?」
「Σえっ?!!;いゃ…その…あ、ぅあ…」
手をバタバタして慌てる俺にクスリと笑うと兎は言葉を続けた。
「……僕には少し足らない部分があるので…アリトには嫌な思いをさせてしまうかもしれませんね…」
「……え?」
なにやらシリアスな雰囲気に気押されしてしまいそうだ。
普通だと
『人間だれでも足りない所くらいあるよ』と返してあげる所だが、たぶん…きっと…そういう意味では無いんだろう。
なんとなくだけど…。
「まぁ、僕の話なんてどーでもイイんです。
…アリト貴方の望むままに…。」
しかし兎は
カラッと態度を急変換させ気になる話をそのままに、英国紳士も裸足で逃げ出すような会釈をしてみせた。
俺も
(きっと今一部の女子に流行ってる執事喫茶ってこんな風にお出迎えされるんだろうな)…とか、どうでもいい事に頭が向いていた。
シリアス向きじゃないんだな…この面子。
さて…
なにやら謎がいっぱいだ。一つの謎を解決する前に次々謎が現れる。
考える時間すら与えてもらえない探偵はどうやって推理したらいいんだろうか?
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