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「だってアリト!!
コイツ消えた方がいいよ!!コイツがいるとアリトに変な病気とか移っちゃうって!!!
よし。オレが消そっか?」
「アリト。こんな輩消し屑にしてしまった方が、すっきりしますよ?
命令して下されば今すぐにでも僕が消しますが」
どっちが今
消されても 消し屑になっても、俺は確実に迷惑被るんだろうし…。
「…いや。そんなんどーでも良いから、森から出られる一番イイ方法考えて」
森から抜け出したい…
というか、この左右にベッタリくっついてる物体から解放されたい。切実に。
「だから先ほども言ったでしょう?…アリト。
僕とアリトは、もう誓いなんて要らない。
…もう結ばれてるのだから」
兎は俺の小指に自分の小指を絡ませた。
(指切り…?;)
──────ドクッ…
「………ぇ?」
小指が繋いだ所から熱くなる。脳がぐらついて心臓がバクバクと音を立てる。
(……ぃ、苦し…)
目の前に紅い月が見える。
紅い 紅い 月……
今にも 血が滴りそうな…
小指の 紅い 糸…………
────バチッ…────「っわ!!!!;」
頭の中で静電気みたいな音がすると意識は何もなかったかのように戻ってきた。さっきまで、あんなに痛かった痛みも嘘みたいだ。
(あれ… 前にも…こんな事…あったよ、な;)
横を見ると兎が嬉しそうにニコニコしてる。
指切りはもうストップしていて、腕は元通りに俺の腕に巻き付いていた。
「ね?アリト。
出られたでしょ??」
「…え?」
周りをよく見りゃ
そこは森の出口らしかった。あの毒々しい木は俺達の後ろにおい茂っている。
「……なんで、出れたんだよ……」
『愛する人の誓いの言葉』とやらはどうなった?!!
「僕とアリトとは言葉なんて要らないんですよ~w
見るだけで相思相愛だってわかってしまうんですね!!「いや、違うだろ!!!」
どうして、出れたのかは…まぁ、良いや。
この際どーでも良い。
あの重い酸素地帯から抜け出せた、今 この瞬間の歓びを噛み締めよう。
さっきの
紅い月とか糸とかも…
たぶん…なんか…
蜃気楼…とかの一種だ、とか思っておこうではないか。
(はー…一段落一段落)
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