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「…なに…今の;」
小指の糸は白い煙りを上げて消えてしまった。
幻か?なら有難い。
「何って?
契約だよぉ~
涙の契約。」
る…いの 契約??
「今 青い糸だったでしょ?だから涙の契約。ウサ公のは赤。血の契約「ちょっと待てよ!!全然意味わかんないって!!!」
やっぱり 今度こそ
捨て置けない!
無視するには
ちょっと危ないかんじの情報だ。
すっとばすと後々面倒な事になる気がする。
ちらっと兎を見ると
明後日の方を見て業と話を聞かないようにしているらしかった。
「テメェ…
おい!そこの黒いの!
コレはどーゆー事だ!」
兎はあくまでも聞こえないふりを決めこむらしい。
くそぉ…負けるか
「…兎!黒兎!!……………………………………と、トリスタ…さん!;」
兎は勢い良くこちらを振り向いて俺を数秒ジッと見つめると、
いきなり顔が崩れたかのようにニコォと笑った。
不覚ながら心臓の音が派手に煩い。
美形の笑顔は人を殺せるよ!姉ちゃん!!
「は、初めて…初めてアリトが僕の名前をッ!!
アリト!アリト!!もう一度呼んで下さい!是非もう一度!!!!」
すんごい笑顔のまま
顔をおもいっきり近付けてきた。
なんというか…
なにがそんなに嬉しいのか今にも泣きそうだ。
「…えっと、トリスタさん。」
「はい!!」
まるで幼稚園児の朝の出席確認だ。
「契約の事について
話してくれるかな?」
「はい!………あ;」
兎は『しまったー』という顔をもろにして、「仕方ないですね」と、半ば自棄になったように呟いた。
その間も左側で猫が兎を始終馬鹿にしている。
内容は「オレの方が早く名前で呼ばれた~」とか「まだ契約の話してないのかよ~ この詐欺師!ペテン師!」
とかだった。
しかし
そんなヤジは兎の耳に聞こえていないようだ。
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