第7章-神の双子

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「あの…君たち… 何処から来たの? 迷子?親御さんは?」 完全なる偏見だというのはわかっているが、このくらいの子供が単独で歩いていたら聞く事は結構決まっている。そして俺が聞かれる側だったら気分を害すると思う言葉を今回の場合も活用してみた。 返ってきた言葉はこちらです。 「アリトは?」 「迷子かや?」 新しい! 聞き返された!! そこまで俺は頼りなく見えるのか!? 明らかなショックと少しながらの感動を振り切って、果敢にも俺はもう一度聞いてみた。 「…えー…っと… 君たちはどうしてココにいるのかな?お母さんとはぐれちゃった? それともお家近いのかな?」 俺はその場にしゃがみこんでお子様に目線を合わせて聞いた。 するとお子様が同時に口を開く。 「何故此処にいるかと訊ねられてものぅ」 「親方様の名を口にする音が聞こえたのでの」 「親方様の御名を申すなぞ、どこの命知らずかと見にきてやったのじゃ」 「久方ぶりの獲物だと思うたのに…来てみればアホゥ二匹…。」 「しかし思わぬ収穫じゃった!」 「まさかアリトが一緒とはのぅw」 「いや。実に、実に!運が良いの右の」 「そうじゃの。左の。まっこと親方様の導きに他なりますまい」 ──…えー…。 一度口を開いた二人のお子様は勢いを上げて話し出した。 途中で口を挟むつもりだったのだが、そんな隙はまるで無い。 仕方なしにお人形さんがペチャクチャ楽しそうにお話しする姿を (嗚呼…まぁ…うん。可愛いは正義だって姉ちゃんが言ってたしな…。俺がそれを邪魔する権利など微塵も無いな。) とか、意識を他にボヤッと飛ばしながら眺めていた。 その様子は端から見てさぞかし犯罪者に見えた事だろう。 『青少年。幼児誘拐』 …そんな新聞の見出しが頭をよぎった時だった。
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