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「で?用とは何かや兎。」
「つまらぬ事ならば鍋にしてしまおぅかの」
Σう、兎鍋?!!;
「いえ。お二方ならばこの度の真相を何かご存知だと思いまして」
「……真相?」
「真相とな?」
はて?といった顔で二人はお互いを見て確認を取り合っている。
「とぼけんなよ…。
今回の事は出来すぎてる。いきなり二つも契約なんて都合良すぎるだろ。どう考えても仕組まれてる。」
「こんな事仕組もうと思って仕組める方などそういませんでしょ」
こんなに兎と猫が息の合った会話をしているのは初めて聞いた。
こいつら喧嘩以外で会話とかできたんだ…。
「…して。我らから得たい情報はなんじゃ?」
「無論、それにみあった代価は貰うがのぅ」
「『真相を話す』というのは駄目なわけか;」
「別に我らは構わぬが…それ相応の代価が必要じゃの」
「例えば…猫。貴様の命九つではどうじゃ?」
「もしくは…貴様の来世。」
「その後の魂…」
「永久に続く闇の内での孤独…」
それを聞いた猫はピタッと固まって青ざめたまま動かなくなった。
半分以上意味がわからなかったが、恐ろしい事なのだというのはわかる。
少なくとも猫が話さなくなる位には。
次は兎の番だった。
「…兎。貴様はどうじゃ?」
「何を差し出す?」
「僕に捧げられる物ならばなんでも。」
──…え?
「この真相を知り脱出口を見付けられればアリトが助かる。ならば僕はなにも要らない。」
──…ち、ちょっと…待てよ…。
それは…
お前…それじゃ…
それじゃ…お前は
お前はどうなるんだよ
俺の気持ちをわかっているのかいないのか
兎は自分を見上げる俺を見て、なんにも読み取れない瞳でニコリと笑った。
「さぁ、これで真相を話して下さいますね」
こんな事で良いのか?
そんな…代価とか…
重いもん…。
つまり犠牲って事だ。
自分が助かる…
いや…。
良いわけがないんだ。
それで助かって
俺は…
「いやだ!!!」
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