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「アリトの事は僕の事なんです。…アリトの事ならなんでも僕の事なんです!!だから僕はアリトの代価を払う権利と義務があるんです!!!」
なんか言ってる事めちゃくちゃだ!;
「僕が払うからアリトは出さなくて良いんです!」
なんだかファミレスのレジでよく見かけるおばさん達の「今日は私がおごるわね~」「えーっ!悪いわよ、奥さん!」「いいの、いいの!払わせて!」
…っていうかんじのに似てる。
しかし、度合いが違う!
おごられる訳にはいかんのだ!!!!
「うるせーっ!
俺が払うったら払う!」
「嫌です!僕が払います!!絶対絶対払います!!」
可笑しな言い合いが暫く続くと外野から笑い声が聞こえた。
振り向くとチビッコ大爆笑。
「アリトはともかく…兎…お前…面白いのぉ…」
「あぁ実に実に。お前がこのように面白くなるとはなぁ…流石アリトじゃw」
「…ふふふ。わかった。わかった。今回は久しぶりに余らを楽しませてくれた褒美ぞ…のう?」
「あい、承知した右の。妾もそれで問題ない。」
二人の手から蛍のような小さな光がいくつも溢れてきている。
「だがな、兎。
全ては話せぬぞ?」
「構いません。
何かを失うより…ましですから。」
兎は苦しそうに笑うと双子の言葉を了承した。
蛍の光がだんだんと強くなってきて、目が痛い。
俺は目を細めてこれから起こる事を逃さないように努めた。
「…血を我が密約に落としたまへ…弦よ闇に絡みたまへ…」
「縁を我が前に晒したまへ…時よ…ただ無限に広がるこの現に絶望するなかれ…」
歌だ。
また歌が聞こえる。
さっきまで目を開けていたはずなのに視界には光しかなくなってしまって、目を開けてるのか閉じてるのかさえわからなくなってしまった。
フワフワと光の粒が宙に舞う。
カメラのフラッシュを直視してしまった時の強化版だ。
いや、あれとは比べ物にならないが…。
「…答えはいづこ?」
「…路はどこへ?」
「答えは煙りに…」
「路は病に…」
「「暗い闇は…身体を蝕む…」」
「…ただ思うのは」
「…まだ見ぬ光」
光が凝縮していって
双子の手のひらに消えていった。
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