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なんだよ…
なんだ…
今の俺の状況だって
半端なく謎なんだが
猫の視線が頭から放れてくれなくて
自分が空中に浮かんでる事なんてどーとでもないように思った。
…あ。でも一瞬ね。
流石に空中に浮かんでんのとかビビルから。叫ぶから。
「うゎあぁぁあぁ!!!!!!!!!!!」
この雄叫びにより
猫の視線は俺の頭から抜け落ちた。
俺って酷い人間だと
俺も思う。
「あ。アリト。暴れないで下さいね。バランス崩してベチャってなりますから」
「なんだよ!ベチャって!普通に堕ちるとか言えば良いじゃねーか!なんでわざわざ生々しい言い方するんだよ!!;;」
俺は暴れるのを直ぐ様停止し、一生懸命にしがみつく事に神経をフル活用した。
俺は情けなくもお姫様抱っこである。
空中に浮いている…というか飛んでいる。
飛んでいる…というか…跳んでいる。
兎だからかな。
兎だからなのかな。
雲を突き抜けるジャンプで長時間空中に留まって、下に落ちてきたらそこら辺の木やらなんやらを踏み台にまたジャンプ。
これを繰り返して結構遠くまで来たと思う。
もちろん、それだけのジャンプとなると上下運動の衝撃も凄まじいわけでありまして、俺はこの様な乗り物があるとしたらタダでも乗りたくないと思う所存でありました。
たぶん後数回繰り返されたら自ら手を放して楽になりたがりそうな自分が恐い。
しかし、後一回やったらへこたれると思ったところで上下運動がストップした。
「…つ、着いたの?」
口を開いた瞬間に胃から何かが込み上げてきて急いで手で覆った。
「はい。着きましたよ。すぐソコにいるはずですから…」
(………いる?;)
兎の言い方に些か違和感を感じたが、すぐに納得した。
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