349人が本棚に入れています
本棚に追加
『風が、気持ち良いなぁ~』
ふわりふわりと、あたしを遊ぶ風。
少し長めの髪は風にはためき、自由に空でなびく。
このちょっとしたことが気持ちよくて、さっきまで息がつまりそうだったあたしを開放してくれたみたいで。
思いっきり背伸びをしてみたら、急に世界が広がった。
「気持ち良さそうだね」
『めちゃくちゃ気持ちいいよ』
あたしのその言葉を受けて、同じように背伸びをするナツキ。
なんだかくすぐったい様な気持ちになって、目を会わせてお互いに少し笑った。
時々現実から離れることで、少し疲れが取れていた。
だから背負ったプレッシャーを取り除く様にあたしはいつも、屋上へ来る。
そして、あたしというしがらみから少し抜け出して、自由になるんだ。
「なんか、のどかだなぁ…」
『うん、無茶苦茶静かだよね…』
二人して見上げる空は澄みきっていて、自由に溢れてた。
音のない静かな空間は疲れをも巻き込んで慄然としていて。
そして何よりも和むのが、あたしの隣にナツキが居ること。
あたしの大事な人。
あたしが今何よりも大事なのは、大好きな幼なじみ達。
小さい頃からずっと一緒で
楽しいことも嬉しいことも
悲しいことも辛いことも
ずっと4人で分かち合ってきた。
そしてそれはずっと変わることはないと、信じていたんだ…
+
最初のコメントを投稿しよう!