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「………………ラ」
「……ア……ラ」
「…アキラ。」
段々と確実な音をもち始める声。
その声があたしを現実に呼び覚ましてくれた。
そしてあたしの名前が聞こえて目を開くと、目の前にはいつもの青空が広がった。
さっきまではまるでミルクの中みたいに真っ白なところに居たのに、まるで正反対な青々とした空。
まだぼうっとする頭で、綺麗だなと思った。
あたしはさっきまで、こんなとこにいたかなぁ…?
…ああ、夢を見てたんだ。
青い空は現実味を帯びていて、あたしの心を少しずつあたしの体に縫いとめるんだ。
少しずつ自由になる体を動かしながら、ゆっくりと起き上がる。
かすかな頭の痛みを覚えて顔をしかめると、あたしを呼んだ声の持ち主が心配そうにあたしを見た。
「大丈夫…?」
『…うん。』
「涙、流してたけど…」
『…悪夢、かな。』
悲しくて怖い夢だった。
…だけど、思い出せない。
あれがどんなことを意味してるのかわからないけれど、あたしの胸は焦燥を覚えるんだ。
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