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覚えているのは
伸ばした手…
誰かのシルエット…
あれは誰だったんだろうか?
確かに顔を見たはずなのに
どうしても、思い出す事が出来ない。
いつもそうだ
大事なことは、流れていってしまう。
「大丈夫。夢は、夢だから。」
『…そうだね。』
夢は、夢だから。
その言葉で、あたしはもやもやを片付けた。
そうしていつも、後々になってから後悔することを知っていたはずなのにな…
だけどこの時のあたしには、重要じゃなかったからすぐに頭の隅にこの夢を追いやったんだ。
額には少し汗をかいていて、あたしがうなされてたっていうのはホントなんだなぁってちょっと思った。
「ほら、ここにも」
『ありがと』
そう言ってあたしの汗を拭ったのは、梅崎 ナツキ。
優しげな風貌だけど、人一倍気が強くて元気で優しくて。
あたしをいつも子供扱いするけれど、ホントに優しい良いお姉さんだよね。
…あたしより背が低いけど。
段々とクリアになる頭で、自分が今どこにいて、ナツキもあたしもどうしてここにいるのかを思い出した。
日光が気持ちよくて勉強する気が起きないからって、授業をさぼったあたし。
ナツキは多分、あたしを迎えにきてくれたんだ。
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