吸血虫

1/1
468人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ

吸血虫

私の耳元に奴はいた。最近流行りの「やぶ蚊」だ。 私の殺意を最大限まで引き出すソイツがプンプン飛び回る。 亜光速ばりの私のハンドが宙を舞う。奴はヒラリとかわした。 なかなか手強い。私はさらに追い続けた。 かろやかに舞う自分の右手に酔いながら、私はふと左手を見た。 見知らぬやぶ蚊がとまっている。 「吸ってんじゃねぇー!」 最高速度の右手でソイツを瞬殺してやった。 が、さっきまで追っていた奴の姿が無い。見失ったようだ。 「次に会ったら決着つけてやる」私はそう言い残した。 5分後、足が2ヶ所かまれていた。 〈完〉
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!