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吸血虫
私の耳元に奴はいた。最近流行りの「やぶ蚊」だ。
私の殺意を最大限まで引き出すソイツがプンプン飛び回る。
亜光速ばりの私のハンドが宙を舞う。奴はヒラリとかわした。
なかなか手強い。私はさらに追い続けた。
かろやかに舞う自分の右手に酔いながら、私はふと左手を見た。
見知らぬやぶ蚊がとまっている。
「吸ってんじゃねぇー!」
最高速度の右手でソイツを瞬殺してやった。
が、さっきまで追っていた奴の姿が無い。見失ったようだ。
「次に会ったら決着つけてやる」私はそう言い残した。
5分後、足が2ヶ所かまれていた。
〈完〉
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