白髪の人形

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「難しい話だったか」   苦笑しつつ、ドアを開けて自室に入る。   すぐさま部屋の違いに気付いた。   桜の部屋は本来、玄関から居間まで廊下が伸び、その間に洗面所とトイレと寝室があるだけだったのが、寝室が一つ増えていた。   前まで壁に無かった新しいドアを開けると、中は人形が沢山置いてある可愛らしい部屋だった。   「ふぅん、なるほどな。こっちがお前の部屋だ。他の部屋も勝手に使って構わない」   そう言って桜は、前から存在する寝室に入る。   その寝室はベッド以外の家具は一切ない、真の意味で寝室だった。   電気もつけずに部屋に入るとコートを脱いでベッドに横になる。   それをジッと見る視線に桜は声をかけた。   「……なんだよ」   サラはドアの前で床と桜を交互に見る。   「どうした?」   「暗い、ヤダ」   桜はその二つの単語からサラの心情を察する。   (暗いのが苦手か。そうだよな、あんな場所にいたんだからな……)   桜は、起き上がり、ドアの前までくると壁にあるスイッチを入れる。   真っ暗な部屋が蛍光灯で照らされる。   安心したサラの顔を見て、桜は家のあちこちの電気をつけて周り、寝室に戻ってくる。   「不備があったら起こせ」   サラの頭を撫で、ベッドに横になり、目を瞑る。   すぐにでも深い眠りにつきたかった桜だが、ベッドが大きき揺れて目を開ける。   ベッドに座るサラを見る。   「一人、ヤダ」   心情を察するが、桜も男で一緒のベッドで寝るには抵抗があった。   悩む桜をしり目にサラはベッドに横になる。   「……しょうがない」   雑念を捨て、桜は目を瞑る。   今度こそ深い眠りにつく。お腹が鳴って目を開ける。   指を噛むサラを見てしまった以上は無視して眠るわけにはいかない。   ベッドからおりて部屋を出る。サラは追い掛ける。   廊下の先にある居間の一歩前にある台所に入る。   冷蔵庫の中を見て悩む。   「手早く出来る物は……」   材料不足が現状の冷蔵庫から、めんつゆとネギ、冷凍庫からご飯を出してまな板の上にのせる。   鍋にご飯とめんつゆ、水を適量入れて火にかける。その間に包丁でネギを同じ大きさに切り刻む。   「あ……」   サラが寄ってくる。   「やってみるか?」
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