52人が本棚に入れています
本棚に追加
コイツにそれが愚行なのかと理解させるのに夜になっちまうな。
かと言って着替えを手伝うのも男として無理だ。
「ジー」
「?」
わかりやすく効果音に振り返ると、床に空いた穴からひょこりと顔を出すルルを発見した。
「ルル、ちょっとこい」
手招きすると穴から這い出てトタトタと近寄ってくる。
サラから終始目を離さないところ、サラに興味津々らしい。
「いいかルル? この子はサラで新しいここの住人」
「はい~」
「着替えの手伝いをしてやってくれないか? オレは別にやらなければならないことがあるんだ」
「わかりましたー」
ルルがビシッと軍人敬礼、サラの手を引いて部屋に入る。
その間にオレはオレの寝室に戻り、瞬時に着替を済ませる。
サラがいると面倒になりそうだからな。
あとはサラの着替えを待つのみ、だが小さい足音が近付く。
「サクラーこれどうやってつけるんですかー?」
ルルが女の上用下着を持って部屋に侵入。そのあとを続いて下着一枚のサラが入ってきて脳がクラッシュ。
「お、オレに! 聞くなぁぁぁぁぁぁ――!!」
数年振りに大絶叫して手で顔を覆う。
だがサラは自分の姿に恥じらうことなく抱きついてきた。
「サクラ」
「コラ! 離れろサラ!」
「サクラ」
上機嫌に名前を呼んでくるがワザとやってんじゃないだろうな。
「ルルー何騒ぎだー」
「サクラちゃんどうしたのよってあらー」
その声はリリとこの場に平穏をもたらすババア。
「ババアどうにかしろ!」
「またまたーサクラちゃんはマニアックなプレイが好きね」
「脳天に鉛弾ぶちこむぞ!」
「ひぅ! サクラが怒鳴った~うわぁーん!」
「すまない、急に怒鳴って悪かった。だから泣くなルル」
「ルル泣いたらダメなんだぞ……泣いたら……うわぁーん!」
「慰めてるのにもらい泣きするなリリ! サラはとっとと離れろ!」
混沌が静まったのはもう少し時間がたってからだった。
朝から疲れる。こんな日が続くと思うとノイローゼになりかねない。
早急にどうにかしなければと思った朝だった。
最初のコメントを投稿しよう!