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とここで頬を撫でた冷たい風に意識を取り戻し、自分と向かい合っている少女を見る。
ロングヘアのさらりとした黒髪に、端正な顔立ち。スレンダーかつ発育が程よい体躯。同じクラスメートの三神沙羅(みかみさら)という女生徒であった。容姿端麗で頭もいいのだが、比較的口数が少なく、大志からしてみれば怒っているかの判断がわからない為に、やや近寄りがたい女生徒だ。
ふと、大志の頭に疑問が浮かぶ。
(なんでまた……俺?)
なぜ、目の前のこの少女は自分を好きになったのだろう? 普段クラスではめったに話さないし、ここ最近話した記憶も数える程しかない。最悪、イタズラかとも思ったが、彼女が悪友と共にそういうことをするような人間ではないという確信が何故かあった。
理由を聞くべきか否か、大志は今この瞬間困っているのである。
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