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「………駄目?」
その声に大志ははっとした。
そうだ、待たせてはまずい。かといってこの場で後日に持ち越すのは、いつ再び会えるのかわからない。
大志はそこにはこだわる人間だった。
(だから、今答えないと…)
再び沈黙が流れる。
そして。
「……あ、ああ。付き合おう。――ただ、これからお互いのことを知りながら、な?」
なにぶん相手の事を知らなさすぎる為、やや曖昧な交際宣言。でも答えは返した。自分が一番良い言い方をしたかどうかわからない。何せ、人生で初めてこんなにもストレートに告白されたのだから。ちなみに告白された経験は同年代の友人から恨まれるても良いくらいにあるのだが、そのどれもが手紙や、最悪メールでの告白だ。
「……そう」
短く、沙羅は反応としてそう小さく呟いた。
大志は不思議に思った。なんと、目の前の少女が今まで(少なくともクラスの中では)見せた覚えのない笑顔を見せたのだ。
(――綺麗だ)
素直にそう思った。そして改めて思う。自分でいいのかと。
顔は平均も良いところ、一応やってた野球も自慢するような腕前でもない、成績も推薦が取れたとは言えそこそこのレベル。そんな自分が……。
(こんな綺麗な娘と付き合えんか?)
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