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凛子の頬をつついた男は、高そうなブランドスーツを着た男だ。ブランドスーツが映える顔立ちで、髪をオールバックにした、オフィス街にいそうな出で立ちの男だった。
いきなり虚を突かれて驚く凛子を見て男は格好良いが堅そうな顔を崩した。
「ずっと外を見てるから泣いているのかと思ったが違ったみたいですね。変なことをしてすみません。」
あまりにも正当な理由すぎて何故か言葉が出てこない。
「悪かったですね。君のテーブルをとってしまって。しかし、今はどこも混んでいてやっと見つけた空き席なんです。我慢してくれるかな。」
「いえお構いなく。」
物言いからして若いが上の立場につくものだろう。
一介のOLの凛子には無縁な人だ。
気を取り直して二人の方を見る。
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