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「君、名前は?」
横を向いた瞬間訪ねられる。
「は?今なんて?」
凛子は聞き返す。
「君の名前を聞きたいんですよ。」
「……?」
意味が分からず黙り込んでみる。
「俺は気に入った女性の名前は聞く質でして。」
笑った男に凛子は吹き出した。
「ぷ!それってナンパですか?」
「そうとも言いますね。」
「あいにくさま。今は、それどころじゃないので。」
凛子は言い放った。
「桜庭秋人です。よろしく。」
桜庭と名乗った男が取り出したのは名刺だ。そこに何かを書いている。
そうこうしていると二人が席をたつのが見えた。凛子は慌てて立ち上がる。
しかしその手をつかんで、桜庭は何かを渡した。
「気になったら、メールでも電話でも待っています。」
凛子は苦笑いして二人の後を追ったのだ。
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