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夜の静寂の中で一人家路を急いでいた。
残業を終わらせた頃にはもう夜中で、会社にそのまま泊まろうとも考えたが、明日は休みなので早く帰宅したかった。
ただ、交通機関は朝にならないと動かないので、たまには健康のためにと思い、徒歩で帰宅することにしたのだ。
―家ってこんなに遠かったかなぁ…。もう一時間は歩いたぞ…。
ひたひた…
『ん?』
後ろを振り向いたが誰もいなかった。
―こんな夜中に人が歩いていることの方が奇妙だもんな。きっと気のせいだろう。
そう思いまた歩き始めた。
ひたひた…
『!?』
先程より少し音が大きくなったような気がした。しかし、後ろを振り返っても誰もいなかった。
―何!?疲れすぎてどうにかなっちまったのか!?
少し怖くなり、歩く速度を早めて再び歩き始めた。
ひたひたひたひた…
『なんなんだよ!?』
足音はやはり後を追ってきた。勢い良く振り返ってみたが、やはり誰もいなかった。
―…なんなんだよ‥まじ訳分かんねぇ…。
遂に耐え切れなくなり、家まで走り始めた。だが、足音は止まなかった。
ひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひた
―!?
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