青いクレヨン

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『あれ?このドア開かないよ?』 『ぁあ、そこのドアは以前使用してた方が鍵をなくしてしまったとかで、今新しい鍵を作って貰ってるところなんですよ。』 不動産屋さんは苦笑いを浮かべながら説明した。 『鍵は出来次第届けてくれるんでしたよね?』 『はい。2~3日以内にはお届け出来ると思います。』 1室の鍵が届く前であったが、私はここで泊まることにしてみた。 やはり人里から離れているため、静かで居心地が良かった。 夜になり、私はクローゼットに放り込んだ荷物を取ろうとして、あるものを見つけた。 荷物を入れた時には気が付かなかったが、クレヨンの箱が置き去りになっていたのだ。 中を開けると、長さがまばらなクレヨンが入っていた。そのクレヨンは、何かが欠落しているような気がした。しかし、ただの思いすごしだと思い、近くのテーブルにクレヨンを置き、深く考えることはせずに静かな夜を過ごした。 次の日、家に別荘の1室の鍵が届いた。私は妹が部屋の中を見てみたかったと話していたのを思い出し、再び別荘へ向かった。
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