青いクレヨン

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まだ幼い文字の羅列。 それらは青いクレヨンで書かれていた。そして、その文字を壁に書き続けた本人と思われる子供の白骨死体が部屋には転がっていた。 私達は事態を警察に通報した。後に分かったことだが、以前ここを使っていた人は精神に多大なストレスを抱え、養成のために子供を連れてここで過ごしていたらしい。 しかし、ここに来た時には既に疲れ果てており、自分の子供すら邪魔な存在と感じてしまい閉じ込めてしまったのだ。 精神を病んだ母親は子供のことを閉じ込めた後、投身自殺を図ったらしい。しかし、幸か不幸か助けだされ、長い間入院しており、死体発見後に入院先で警察に子供のことを説明された際にすべてを思い出し、彼女は子供の後を追って自殺したそうだ。 クレヨンの箱を開けて感じた欠落感は、あの青いクレヨンがなかったことだった。 必ず入っているあの色がなかったことへの欠落感だったのだ。
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