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すごい長い夜に感じた。
今a.m10:15を過ぎた頃。
家族も出掛けて、誰もいない家の中で心臓の鼓動が聞こえて来そうな静けさ。
私は受話器を持っていた。
『あーやっぱり無理②』
受話器を持ったまま、私の頭の中で葛藤してる。
もしフラれたら、気まづくてもう話してもらえないかもしれない…。
でもこのまま忘れる事もできない…。
どのくらいの時間受話器を持ったままだっただろうか。
受話器の向こうからツゥーと聞こえてくる。
目を閉じて深呼吸してから、ダイヤルを押した。
プルル…プルル…
『もし②』
声の低い男の人がでた。あきらかにとも先輩の声じゃなかった。
余計に緊張して固まり。
『あっ、あの朝早くすいません。斎藤と申しますが、とも君いらっしゃいますか。』
あちゃ…
先輩の事を君とか呼んでしまった。
電話の相手はお父さんだった。
余計に緊張がまして、受話器を持つ手にまでも冷汗をかいた。
『ともはまだ寝てるかもしれないね。ちょっと待ってね。』
『あっ、はい』
受話器の向こうでは、
『とも… とも…電話ぞ。』
と声がしてた瞬間、
『(ガチャ)はい』
お父さんの声と、とも先輩の声が同時に聞こえた。
そう、とも先輩の家の電話は親機と子機が同時に話せるのだった。
『もし②ごめん、寝てたよ。』
まだ眠そうな先輩の声。
『すいません。もう起きてるかなと思い電話しちゃいました。』
『いや、電話楽しみにしてたよ。』
何か心が救われた感じかした。
『迷惑』何て言われたらどうしようかと不安だったし…
それからどれくらい話しただろうか、どん②話が盛り上がって。
私は今日電話したのは、とも先輩に思いを伝えるためだったのだと、本題を言わなきゃ。
緊張がまた戻ってきた。
『とも先輩、真面目な話をしてもいいですか』
とも先輩も動揺したのか。
『急にどうしたの。』
ビックリしたような声だった。
『私最初に部活に入るの正直嫌だったんです。何か理科部のイメージが真面目そうとか、あまり良いイメージがなかったんですが、今は入ってよかったです。とも先輩に会えたし、とも先輩の事好きになりました。付き合って下さい。』
私は自分の気持ちを頑張って伝えたつもり、上手くは言えなかったけど、『好き』って事だけは言えた…。
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